ドイツの劇場にはどんな職業の人が働いているの?  ~事務職編~

バレエ&劇場

今回の記事では、アーティストたちが日々安心して自分の職に打ち込めるよう支えてくれている事務の方々をご紹介したいと思います。働いていくうちに湧いてきた疑問など、誰に聞けばいいのか分からない時はこの記事が大いに役立つはずです!

私が今まで出逢ってきた事務の方は、頭はきれますが穏やかなお人柄の方ばかりでした。業務上の問題は同僚のため、会社のためと丁寧に対応してくださることでしょう。ドイツに来たばかりの際市役所や外人局にて冷たくあしらわれ、事務系の方々に一抹の抵抗を感じている人も、ぜひこちらを読んで親しみを感じていただけたらと思います。

Der Büroangestellter = 事務員 (デア ビュロー アンゲシュテルター)

もう3つめの記事なので若干今更な説明ではあるのですが、ドイツ語では名詞が男性・女性・中性と3つに分かれています。

職業の説明も例外ではなく、男性では「Der Büroangestellter」なのですが女性では「Die Büroangestellte」というように定冠詞と語尾が変化します。また、引率者の男性は「Der Leiter」ですが女性である場合「Die Leiterin」と今度は最後に in がつきます。

人に合わせて適切な変化をしているかの確認をするのは大変なので、ドイツでは「~er/in」とスラッシュで区切ることで同時表記しています。

ですので例えば他の職業ですと「Die Direktorin」は女性監督と訳されるわけなのですが、これは女性差別や軽視でもなんでもありません。対の「Der Direktor」が元々男性監督という意味を持っているためなのです。

私の記事ではドイツ語に精通していない読者の方々の混乱を防ぐため、男性表記で一貫したいと思います。なぜならカタカナでの読みがドイツ語らしくなるという独断と偏見によるものです。よろしくお願いします。笑

知ってて損しない豆知識でした! 今度こそ、事務の方々の紹介に移りましょう!

Künstlerisches Betriebsbüro = 労務管理部(キュンストレリッシェス ベトリープス ビュロー)

こちらは劇場の運営陣・前編でもお伝えしましたね。『KBB(カーべーべー)』です。

管理監督の下に数人の『Disponent(ディスポネント)』というオーガナイザーがついており、劇場のスケジュールを日・週・月・年単位で管理。毎日遅くとも14時頃までには、各部署と連絡を取って翌日の劇場全体のスケジュールを張り出さないといけませんので、お昼前はいつでも修羅場です。もし急ぎの用事でなければ、その時間帯は外すことをおすすめします。

ソロでもアンサンブルでも、プライベートで練習するため空きスタジオを抑えたい場合はこちらを訪ねてください。他の同僚と鉢合わせするのを防いだり、ピアノが必要ならその部屋にピアノがなければならないのも当然ですが、それ以外にも重要な理由があります。

勤務時間外での事故が、労災保険として適用されないためです。「この時間、この人がこのスタジオで仕事として練習していた」と証明できるのはKBBの作るスケジュールです。事故を見た証人がおらずひとりきりだったのなら尚更。大切なことですので、手間を惜しまずKBBで劇場のプランに加えてもらってくださいね。

また、芸術家たちと事務の方々を繋いでくれる仕事でもあります。

練習を伸ばさざるをえなかったために休憩が短くなったり、就労時間が規則よりも長くなってしまったとき、どうすればいいのでしょうか?

それに対しては『Verkürzte Ruhezeit(フェアキュルツテ ルーエツァイト)』という休憩が短縮されたことによる手当があります。ドイツ人は決してサービスでは働きません。自分を守ることは被雇用者全体の権利を守るということに繋がりますので、どうか罪悪感など抱かれませんよう。

他には普段の給与に加えられるものに『Honorar(ホノラール)』という賞与が存在します。こちらには例えば、

  • 1日にダブル公演をしたとき
  • グループ契約(合唱やコールドバレエ)の方がソロを歌ったり踊ったりしたとき
  • ダンサーが歌う、歌手が踊る、オケが衣装を着て舞台に乗る等、本番で自分の専門外の仕事をしたとき
  • 同じ職場に一定の年数以上勤務したとき(3年毎の昇給等)

などがあります。

もちろんこの2つは劇場によって差がありますし、契約の内容によってはそういった賞与・手当が出ない場合もあります。額は上司との合意であったり、相場で決められていたりと様々です。

が、重要なのはツアー公演などにつく特別手当と違い、上記2つをKBBに申請するのは各個人であること!

専用の紙に、日付・時間・舞台名や練習の名目などを書き込まなければなりませんので、特に休憩短縮手当などは忘れない内にメモを残しておきましょう。この紙が後述の人事部などに割り振られてゆきます。

それにしてもKBBの司令塔感、半端ないな…。

Personalabteilung = 人事部(ペァゾナール アップタイルング)

日本の会社でいうような人材の雇用や新人教育などには関わりありませんが、契約書などの個人情報や給与を管理しています。住所やお給料の振込先を変更したかったり、業務上必要な経費などについて質問があればこの部署を訪ねるとよいでしょう。

Finanzabteilung = 経理部(フィナンツ アップタイルング)

劇場の経営に関わる細かな収支の計算や管理が仕事となりますので、運営陣・前編でお伝えした財務責任者の補佐的な役割を果たします。

将来への投資や劇場の改修などにあてる費用、税金などの監査を行っており、年度末調整時は白目を剥いています。

Marketing = 広報(マルケティング)

上演作品や劇場自体を宣伝する策を打ち出します。街中のポスターやウェブサイト、最近ではソーシャルメディアなどもそれに当てはまりますし、ドラマトゥルクと共同でパンフレットを作ったりもします。

観客のみに留まらず、政治・芸術的な連盟などの各方面に強いメッセージを発信をするべく、取り換えのきかない特性や個性を劇場に付与させるため総監督と連携しています。

報道機関『Presse(プレッセ)』の応対なども含まれますが、劇場によっては別枠でとられていることもあるようです。

Besucherservice = カスタマーサービス(ベズーヒャーセルヴィス)

お客様にチケットを販売している部署で、個人的には一番お世話になっている方々です。

というのも実は劇場にも、従業員割引があるんです。使える回数には制限があるものの、自分と違う分野の舞台も格安のお値段(劇場によってはなんと無料!)で鑑賞することが可能です。

この方たちと仲良くなった結果、私は以前9年間勤めていた劇場の舞台を観にいった時にも「従業員割引しておくよ(ウィンク)」と粋な計らいをしていただけました。普段から一緒に働いていない事務といえども、人間関係は大切だと感じさせてくれた出来事です。

まとめ

いかがでしたか? 事務には他にも重要なポストにつく秘書などももちろん含まれるのですが、今回は芸術家が特にお世話になる部署を紹介しました。

この通り各部署はそれぞれ忙しい時間帯や時期が違ってきますので、それを把握しないまま急ぎでない用事をもっていくのは得策とは言えません。逆に日頃の行いがよいと皆さんも人間ですので、困ったときも親身になっていただけたり、思いがけないおまけをしてくれたりもするのですよ。

事務所の扉を開ける際は、今お時間取れますかと一言添えるだけで人間関係はとっても円滑に回ると思います。普段からお世話になっている方たちだからこそ、礼儀正しくいたいですね。

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