こんにちは! ドイツの劇場でバレエダンサーとして働く、筆者の川端(@ChihoKawabata)です。
今回のテーマは『ターンアウト』と『アンディオール』について♡
これらは主に、脚の外旋を表すバレエ用語です。
2つの言葉の区別はあるのかないのか? 個人的には『ターンアウト=外旋しているポジション』で、『アンディオール=エネルギーが外へ向かっている状態』というイメージです。
ま、言葉の定義はさておき。
クラシックバレエの身体表現が他のダンスと全く異なるのは結局のところ、
「常に下肢のターンアウト(アンディオール)が求められる」
からですよね。普段は前を向いているか、人によっては少し内向きなつま先を、90度も外に向けた状態で踊るのは難しい。そこで安定させろって無茶な話ですよ、全く。ぷんぷん。
自然の摂理に逆らっているという意味でバレエは異常ですが、それがまた異様な美しさを生んでいるのだとも思います。
その美を目指し、先生も日々声を枯らして叫んでらっしゃることでしょう。
「脚を外に!」
「かかと前に!」
「内筋使って!」
でも内筋てどこやねん、みたいなね。百歩譲って「かかと前」はなんとなく分かる。でも内筋てなんやねん、っていう。内転筋なんかもっと分からんわい。笑
バレエで最も大事な要素であるはずのターンアウト。そしてアンディオール。
なのに「どこをどう使えばいいのか」ということを理解しないままのレッスンは、効果半減だと思いませんか?
この記事を読むと今までよりもすんなりとアンディオールができて、上達のスピードも加速するはず! ぜひ試してみてください♪
アンディオールの意識に欠かせない部位
いきなりこんなこと言うと、びっくりされるかもしれませんが…
アンディオールするとき必ず意識してほしいのは、実はここ!
「えっなんで? 脚のターンアウトでしょ? そこ股じゃん!笑」
ってなりますよね~。分かります分かります!
前回の記事でもここを意識してねとお伝えしました。それは「骨盤をブレなくさせるため」。
と同時に「ターンアウトをさせるため」でもあったのです!
このハートはちょうど『恥骨』という骨の、すぐ上らへんに設定しました。なぜなら恥骨から伸びる筋肉が、大腿骨の内側と繋がりまくっているからなんです…!!
ね! 思ってたより繋がりまくってるでしょ!!
水色の筋肉が『内転筋』。いくつかの筋肉が集まっているので『内転筋群』とも呼ばれます。
前は恥骨から、後ろも、座るときに床にあたる『坐骨』ってところから伸びてます。でもいきなり坐骨が~なんて言われても混乱しますし、変に意識しすぎて坐骨が浮いちゃうと、おしりがプリッと突き出てダック(アヒル)ちゃん状態になってしまうので割愛。
いま重要なのは、『バレエで使うターンアウトの筋肉は、ほぼこの水色の筋肉を指している』ということ!
「うそーん! おしり締めるんじゃないの? 脚全体を外に向けてぐいぐい回すんじゃないの!?」
普通に考えれば、かかとを前にしたいなら腰、おしりや太ももの筋肉を総動員させますよね。だってアンディオールというラスボスとの闘いですもん。仲間全員で臨みたいですよね。仲間はそこにいるのに勇者とラスボスの攻防をじっと眺めてるだけって、勇者からしたら「手伝って!?」って言いたくなります。
でも、そこに落とし穴が潜んでるんです。
前回の記事でもよくよくお伝えしたのですが、腰やおしり全体にぎゅっと力を入れてしまうと、こんなデメリットがあります。
関連記事:【バレエ】ロンドジャンブやフラッペで骨盤がブレまくる人は何に気をつけるべき?【腰やおしりをぎゅっと固めるのはNG!】
ターンアウトは「いかに股関節の可動域を狭めないか」にかかっています。そのためにはガチガチに固めない。自由を奪わない。板垣死すとも自由は死せず。この度『股関節自由党』より筆者も出馬する運びとなりましたので、どうぞ清き一票よろしくおねがいします。
でもね、冗談抜きで想像してみてください…。どちらが股関節にとって嬉しいかを。
①枠がゆがんでしまったドアを、開かないのに必死に押し続けている
②枠が正常なドアを、何の苦もなく開閉する
これを聞くと「今すぐ股関節を解放してあげなきゃ…!」って気になりますよね。幸い、地震などでドアの枠がゆがむのとは違って、股関節の枠は自分で正すことができます♪
枠を正さないままだと痛めてしまいますよ。…というかもしかして、現時点で既に痛いのでは? 心配になってきました。
でももう大丈夫。あなたにはチビル筋がついてますからね。(だからそんな筋肉はない)
ターンアウトは脚全体で回すものではないとご理解いただけたところで、次の項目からはなぜ恥骨の上のハートを留めるのかについてもう少し掘り下げたいと思います。
恥骨を留める理由
さて、使うべき筋肉の場所が分かったのですから「じゃあ、そこだけ使えばいいんじゃん?」となりますよね。
…どうやってそこだけ使います?
力を入れようとしても、太ももの前とか外側とか…別の場所も一緒に力んでしまいません?
そこであなた、チビル筋の出番なんですよ!
「さっきからチビル筋ってなに…」と困惑されている方もいらっしゃるかと思いますので補足しますと、さきほどのお股のハートのことです。前回の記事で「位置がよく分からなければ、尿が漏れるのをがまんしていると考えてください。『チビル筋』を発動させてください」とお願いしたところ思いのほか好評でしたので、定着させようと思いまして。笑
この青いハートがチビル筋。締め上げる必要はありません。このハートを「真ん中で割れないよう」「横長にだれていかないよう縦長に」、上から洗濯バサミでぴたっと留めておくかんじで意識しておきます。
そして正しいアンディオールのイメージを今からお伝えしますので、イラストを見ながら暗示にかかっちゃってください♪
大腿骨の内側についてる強力なゴムを、誰かに上から引っ張ってもらってる状態
脚はリラックスしてるにも関わらず、誰かがももの内側を持って引き網漁なみに引き上げてくれてるんですよ! そりゃターンアウトも朝飯前!!(漁だけに)
でもね、そのゴムの始まりであるハート(チビル筋)がだれていると、内筋は充分に働いてくれないんです。
なぜって、ゴムは引っ張りあうからこそ伸縮力という力を発揮するのであって。右手でゴムを引っ張っても、左手がついてきちゃったら意味ないでしょ? 反対側はしっかり固定しないと。
ほら、ゴム人間のルフィさんも身体をその場に固定しておかないと、一生ゴムゴムのピストル打てないでしょうし「ちょっと撃たれ強い人」ぐらいで終わってたと思うよ。うん。
というわけで先ほどお伝えしたこのイメージ。
大腿骨の内側についてる強力なゴムを、誰かに上から引っ張ってもらってる状態
この「誰か」は、実はチビル筋だったというわけです。
『あなたがこのゴムを使うのでなく、あなたがチビル筋を留めておくからゴムが伸縮してくれる』
これが、似ているようで全然違うの。しっかり覚えてね!
チビル筋を起動して、いつでもスタンバイモードにしておく! 最小限の意識で、最大限のリターンが得られます♡
ターンアウトに必要なのはほんとにこの意識だけ。省エネですよね~! おしりの筋肉を固めたり、太もも全体で頑張って外側に回すなんてことはしなくていいんです。っていうか、ターンアウトの邪魔になるからせんといて!!笑
効果はすぐに現れます♡
ちなみにレッスン中にチビル筋を発動してくださった方から、こんな反応をいただいてます♡
「身体の芯が細くなったみたい」
「シェネのとき、両脚がいつもより閉じれてる気がした」
これらはごく自然な結果です。なぜなら内ももの筋肉が働くことでより中心に近いところで立つ感覚がいたしますし、その筋肉はもとはといえば「脚を閉じるための筋肉」。シェネで脚の外側を使うと脚はどんどん開いてしまいますが、内側を使っているので開きようがないってことなんです。
ちゃーんとチビル筋を発動してくださった証拠!! 試してくださりありがとうございます♪
他にもあなたにとって良かったメリットがあれば、ぜひ教えてくださいね♡
終わりに
ターンアウトとアンディオールについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか? これまで内筋、内転筋の位置や使い方が分からなかった方も「チビル筋さえあれば大丈夫なんだ!」と感じていただけたら幸いです。笑
あ、あとこれ毎回言ってますが念のため…
一言申し添えておきたいのが、筆者の考え方のせいでお教室の先生とトラブルになってしまうことは避けてほしいということ。「いやドイツのプロダンサーがこう言ってましたんで!」みたいな、先生からしてみれば「じゃあ来なくていいです!」と返したくなるような感じ悪~い言い方は絶対絶対やめてくださいね。「あ~少し試したいことがあるんです~」くらいぼやぼやにぼかしてください。笑
最後にもう一度、要点をおさらいしておきましょう♪
- ターンアウトは、股関節の可動域をいかに狭めないかが大事
- バレエで使うターンアウトの筋肉はほぼ、恥骨・坐骨と大腿骨の内側とを繋いでいる内転筋
- 内転筋のみを直接意識することは難しいから、内転筋の始まりである恥骨のあたり(チビル筋)をぴったりと留めておく
もちろん正しい姿勢あってのものですから、基礎の立ち方からまとめてあるこのページを上から順に追ってみてくださいね。それではまた~♪
↓バレエ上達へのまとめページはこちら↓
コメント