こんにちは! ドイツの劇場でバレエダンサーとして働く、筆者の川端(@ChihoKawabata)です。
バレエは、考え方をすこし変えるだけで驚くほどやりやすくなるもの。
筆者のアプローチがそのままあなたの身体に合う、とは限りませんが…
それでも記事を読んだ方からは「こんなにラクに脚を上げられるなんて」「すぐに身体のラインが違って見えた」など嬉しいコメントもたっくさんいただいております♡(Twitterさまさま)
こちらこそまだまだ勉強中の身ですが、大変ありがたいことです…!
「できるだけかんたんに、おもしろく」を目指して書いていますので、分からないことがあったら教えてくださいね。(おい、すべってんぞ!ってネタも恥ずかしいからこっそり教えて笑)
今回のテーマは『甲が出ない理由&甲が伸びる立ち方』♪
はい来たよっ、絶対知りたかったやつ!!!笑
筆者自身は持たざる者です。笑 足は薄いうえやたら大きいので、余計ぺらっぺらに見える。それがずっと悩みでした。
なのにあろうことか、真逆の方向に努力していた。つまり永遠に甲が出ない方法で、甲を出そうとしてしまっていたんですね。
この記事ではしくじり先生ことわたくしめが、甲がきれいに出て見える立ち方のコツをお伝えいたします! コツと言ってもふわっとしたやつじゃないよ。ガチの立ち方改革です。
具体的にはこうしたお悩みの手助けになれそうな内容です♡
- タンジュに出す足(動足)を、もっときれいに見えるようにしたい
- ルルベやポワントで立つと軸足の甲が伸びなくなる(動足は伸びるから、なぜだか分からない)
- ポワントで立ったとき、甲が足指より後ろにある(「足に乗りきれていない」「かぎ足で立っている」と注意される)
- いくら甲を押し出しても、甲が出て見えない
甲を制限から解き放ち、獣のようなしなやかな足のラインを手にいれましょう! ぜひぜひお付き合いください♪
なぜ甲が伸びないのか
結論から申し上げますと、甲が出てくれない要因はなんと
脚の『すね』の筋肉が固い
ことだったんです…!
ははぁ、すねなんすね!? って意図せずダジャレになってしまうと同時に、こんな疑問が湧いてきませんか?
「すねの筋肉が固いって自覚はあんまりないけど…」
すねに着目する機会自体、あんまりなかったかもですね。思い返してみても、今までのレッスンですねに関する注意なんて受けたことないような気がします。「すねを柔らかく使って!」なんて言われませんよね。笑
それは、すねの筋肉がそれだけ受動的な部分であるということ。『使い方』よりも『立ち方』が色濃く反映される場所だということを意味します。
「つまり立ち方が良くないからすねの筋肉が固くなっていて、そのせいで甲が伸びないってこと?」
ブラボー! その通り!!
普段から立ち方が悪くて既にカチコチに固まってしまっているのなら、ローラーなどを使ってコリをほぐすのもおすすめです。(方法はまた今度書きますね)
甲とすねの関係
でも不思議じゃありませんか?
どうしてすねが甲に関係しているのでしょうか?
それはこちらのイラストをご覧になっていただければ一目で分かります♪ 筋肉の名前は重要じゃありません。どこからどこまで筋肉が伸びているかに注目してみてください。
めっちゃ繋がっとる!! すねの筋肉は甲の上を通り、足の指までダイレクトに続いているんですね。
だから「すねの筋肉=甲の筋肉」で同じ筋肉なんです。両方縮んでいるか、両方伸びているかのどちらかしかありません。
伸びている状態では筋肉に伸縮性があり、柔軟に使うことが可能になります。さらに言えば、省エネルギーなので持続性があり、速い動きにも対応できるんです。
「なんか…甲が伸びるだけでなく、できることがぐっと増えそうな予感がするんだけど…!?」
や、ほんまそれよ! 想像してみてよ、センターのアレグロでも足がきれいに伸びるんよ!! しかもラクラク! すごいでしょ!?
やる気がみなぎってきたところで早速、すねの筋肉からアプローチしていきましょう!
すねの筋肉を緩められるような立ち方をすれば、甲もおのずと解放される
ってことですからね♡
すねの筋肉に負荷がかかる原因
すねの筋肉が固まる原因は「縮めて使っているから」でしたね。
でも責めないであげてください。すねだって縮まりたくて縮まっているわけではないんです。犯人は、別にいるんです…。(わ、私じゃないわよ!?)(俺だってアリバイがある!)
そう。実はすねが頑張りすぎてしまうのは、他の場所が怠けてるせい!
だったらサボっているのは、いったいどこなんでしょう?
答えは脚の裏側です。
脚の後ろがおろそかになっている分を、前側が(しかたなく)カバーしていたというわけなんです。なるほどですよね。
「わかった! じゃあ脚の裏側を強化すれば一件落着!」
…と言いたいところですが、ちょっと待ってください。
脚の裏側だって、好きでさぼっていたわけではないんです。(あれっデジャヴ)
ただ仕事を取り上げられてしまっていただけ。本当の黒幕は、別にいるんです…!!(まさかそんな…!)
というわけで登場していただきましょう! 負のスパイラルの始まりと言えばこのお方!
『つま先重心』です!!!
この記事では、つま先に重心を置くことがどれほどあなたを踊りにくくしているのかについて語りました。でも「甲が出なくなる」デメリットまではお伝えしきれなかったので、こうして別記事にした次第です。
筆者がここで言うつま先というのは『足の指』。
重心を足指に置けば置くほど、すねや前ももをぎちっと収縮させてしまうんです。
さらにかかとが床を押せないことにより、脚の裏側のパワーが半減してしまう。その足りない分をまたすねや前ももが補って…と、とにかく脚の前側の負担ばっかり増える一方! ほんとに悪循環です。泣
ということで、たった今から私たちの目標は
重心をかかと側に寄せて、好ましい現象が連鎖する正のスパイラルを作ること!
次の項目からは、その具体的な方法です♪
つま先重心の反対は?
踊りやすくなる連鎖を作り出す! かかとに重心を寄せる方法は、こちらの記事を参考になさってください。
当ブログでは既に何度もご紹介している記事ですが、それだけ万能な処方箋だってことなんです♡ 一石何鳥にもなる立ち方なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
つま先重心をやめて、足で床を押せれば世界は変わります。なるべく早く『かかとの感覚』を育てましょう!
気を付けたいこと
気を付けたいことや、具体的なNG例を挙げていきますね。
動足を伸ばす場合
基本的に軸足よりも、動足の方が伸ばしやすいかと思われます。
理由はかんたんで、
- 体重がかかっていない分、すねへの負荷も少ない
- 重心が関係ない分、かかとの意識がしやすい
だったら動足が伸びるのを邪魔しているのは何なのか? それは、
骨盤が前傾、もしくは後傾していること
だと筆者は考えます。
骨盤からの悪循環は、こんなふうに連鎖していきます。
- 骨盤が正しい位置にない
- アンディオールを助けてくれるインナーマッスルではなく、邪魔してしまうおしりの外側の筋肉に力が入ってしまう
- それに引っ張られ、前ももにも力が入ってしまう
- 脚の前側の筋肉を優位に立たせることになり、すねも硬直する
- すねが硬直する=甲も硬直する
- 甲に制限がかかる
というふうに、甲が伸びなくなっていくわけですね。
骨盤の正しい傾きを確認するには、こちらの記事がおすすめです♪
練習方法
動足の甲を解放する練習として、筆者はいつも、ハーフポワントでタンジュをしています。
①始まりは、足で床を押す感覚がある範囲でターンアウトした1番ポジションから。
②かかとと坐骨が引っ張り合ってるのを確認。(『坐骨』は椅子に浅く腰かけたときに座面と接する、骨盤のいちばん下にある骨だよ。おしりとももが切り替わるラインって覚えておいたら問題ないよ!)
③ここからどうやってハーフポワントに出していくかが超重要! 今からお伝えする4つのポイントは4ないようにね♪
- タンジュするより前に、前ももに力を入れない
- できるだけかかとは上げない
- 画像の①と②の距離を変えない
- 坐骨の位置も変えない
正しい骨盤の傾きを保ちながらってのも大事だよ。まわしを引き上げてね。
出した足を1番に戻すときも、かかとは見えない糸で床から引っ張られているみたいに、抵抗なくすぐ下りていくよ。
坐骨の位置を変えないっていうのもなかなか難しいかもしれんけど、ゆっくりじっくり焦らずに。
そこからドゥバンやデリエール、ロンドジャンプアテール…と色々発展してってみよう。
そのうち「自分の脚ってこんなに長くて軽かったのか…!」という感動があるはず。楽しいよね! もっと練習したくなるよね!!
よし、じゃあお次は軸足だっ!
軸足として立つ場合
全体重を片脚だけで支えるとなると、やはり前ももやすねなど、脚の前側だけで頑張ってしまいがちです。
つまりはそれだけのパワーが脚の前側の筋肉にはあるってこと。だからラクに踊れるような気になるのですが、一瞬でバテます。パワーが大きい分、スタミナ消費も激しいのは道理ですね。
ではここからは甲に制限をかけ、さらに脚のスタミナをも奪うその2大NGな立ち方を見ていきましょう!
NG例①:足首が引けている
まずは、足首がつま先よりも後ろに引けていたり、足指でひっかけて立つ(かぎ足立ちなどとも言われる)立ち方から。
お見せするのはポワントの写真ですが、デミポワント(ルルベ)でも同じ考え方になります。
①甲を引っ込めるから②すねの筋肉が縮こまってしまっている。
こちらはある意味よくあるパターンというか、典型的なNG例です。
理由はシンプルで、足の裏側のパワーが活かせていないために、すねで頑張らないとどうしようもなくなっているだけ。
対処法は足で床を押す感覚を少しずつ身に着けること。脚の軸に安定感が生まれますから「立たなければ!」という意気込みからくる萎縮もやわらぐはずですよ。
あと腰が引けているケースが多いので 『骨盤の傾き』はしっかり押さえておいてくださいね♡
NG例②:甲を押しすぎている
厄介なのは「甲を押しすぎている」パターンです。
「えっ…だって押さないと!! 出ないじゃん!!」
とおっしゃる気持ちも分かりますし、以前は私もめちゃくちゃ押し出そうと頑張ってました…。
でも、違うんです。
先ほどから申し上げているように、すねから甲へと繋がる筋肉を緩めた結果、甲が出てくれるだけ。 私たち自身に甲を出す力はありません。
①甲を前方に押し出す力を加えてしまうと②甲は「これ以上前に行っては危ない!」と危険を感じて収縮、押し戻そうとします。『緊張』と書いて字のごとく、緊急事態なので張ってしまうんです!
ですから足の甲は「伸びているように見えて、実は収縮している」というちぐはぐな事態が起こっているんです。
「そうか…内部では甲の緊急事態宣言が出されてるってことか…」
まさにそういうことです…! 宣言を解除して、自由な甲を取り戻すんだ!!!
あと、甲を押し出した時に使用される前ももの筋肉量がエグいです。
ぱっと見、前者の方がきれいに甲が伸びてる立ち方なんじゃないの? と思われるかもしれません。でも、ももの太さがえげつないくらい違うでしょ!? モリモリのムキムキでしょ!? この状態で立ち続ければ、そのうちふくらはぎもえらいことになってっちゃいますよ!!!
対して後者は、脚の裏側(かかと~坐骨)で立っているので、派手ではないものの実はめっちゃアンディオールが使えてる状態です。
ターンになると違いがよく分かります。筆者は特にピルエット・アンデダンや、アチチュード・トゥールで3回転できる成功率が上がってきました(!!)し、左右差もなくなってきました。これは振付の際にまじで有難い。
…と、いうわけで。
足の薄い私のような方も、逆に甲が高すぎてもっと良く見せようとしちゃう方も。
押し出しは良くないってことですね。どうしても『押し出し』がしたければ、相撲に転向しましょう。レッツ国技!
まとめ
さてさて、今回も長くなってしまいました! 語りだしたら止まりませんね!笑
要点をさっとまとめましょう♪
甲を伸ばすには、同じ筋肉であるすねの筋肉をまず緩めるところから始めよう。
そのためには重心をかかと側に寄せるといいので、足で床を押す感覚はぜひとも身に着けたい。
かかとから坐骨までは長い距離を保ったまま、前ももに力が入らないような脚の出し方を意識していこう。そうすると動足の甲はきれいに伸びるはず♡
軸足の甲を伸ばすには、腰や足首を引っ込めないこと。そして意外だけど、押し出さないことも同じくらい大切!
あ、あと筆者とぜひお約束していただきたいことが…
一言申し添えておきたいのが、筆者の考え方のせいでお教室の先生とトラブルになってしまうことは避けてほしいということ。「いやドイツのプロダンサーがこう言ってましたんで!」みたいな、先生からしてみれば「じゃあ来なくていいです!」と返したくなるような感じ悪~い言い方は絶対絶対やめてくださいね。「あ~少し試したいことがあるんです~」くらいぼやぼやにぼかしてください。笑
今回の内容は、おうちでもチェックできることばかりでしたね♡ はぁ~疲れた~掃除機かけたくないぜ~勉強したくないぜ~ってときの現実逃避にうってつけです♡♡笑
個人的に「ハーフポワントのタンジュで脚長チェック」ってやつは、アンディオールのスイッチをONにするも同然だから、レッスン前のウォームアップとして超おすすめ! ぜひお試しあれ。
それではまた~♪
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