こんにちは! ドイツの劇場でバレエダンサーとして働く、筆者の川端(@ChihoKawabata)です。
筆者の書く『バレエ上達の記事』には、しばしば
- エネルギーの流れる向き
- 筋肉を働かせる向き
- 力を使う方向
といった言葉が登場します。
エネルギーなんて目には見えないものですから、抽象的とも取れるかもしれませんね。
でもこれらは筆者にとって、体をコントロールするためのこれ以上ない具体的な言葉なんです。
今回はそのあたりや、「バランスをとる」という言葉の意味についても深掘りしていきたいと思います!
語りすぎてて、もしかしたら暑苦しいかもしれません。先に謝っとこう。ここ数年の温暖化はほぼ私のせいです、すみません…(謝って済む規模の話ではないな)
上げたり下げたり、矛盾してない?
最近は腰周りについての記事を多めに出しております。
読んでいくうちに、
と
…のように、似た場所でこのように方向が真逆になっている事象に、すこし混乱した方もいらっしゃるかもしれませんね。(これを書いてるちょうど今、そんなご報告をいただきました。ナイスタイミング!笑)
まずは感謝を!
記事をしっかり読んでくださっているからこその疑問ですもの。ほんとに嬉しいです♡
「反対の動きを、同時進行でするの?」
「なぜせっかく上げたのに、また下げるの?」
こうした疑問が湧いてきちゃうってことは、もうあなたは人体の不思議のトリコですね。笑
では筆者の考えをご一読いただければと思います♪
バランスは無意識に取っている
突然ですが、私たちの体には『重力』が働いていますよね。
何もしなければべちょ…っと寝そべってしまう。
なのに立っていられるのは、筋肉が重力に抵抗しているからです。
上から加わる力と、下から抵抗する力が等しい。
つまりその2つは拮抗している関係にあるということ。
上下のバランスが取れている
と言い換えることもできるでしょう。
同じことを、今度は前後で考えてみます。
たとえば「右腕を前に出す」として。
右腕を前に出し続ければ、体はそれに引っ張られ、自然と前に歩かざるをえません。(わんちゃんのお散歩してて、リードがめっちゃ引っ張られちゃうあの感じ。笑)
その場から一歩も動くことなく右腕を出せているということは、体のどこかで戻ってくる力が働いている証拠なんですね。
この場合は、右腕を出す力と戻す力が等しい。前後のバランスが取れているんです。
もっと詳しく言えばその出した腕にも重力が…
ってそれを言い出すとややこしいのでやめときましょ。笑
ダンスでは、対極のパワーバランスを意識的に拮抗させる
レッスン中、先生に
「そのポーズのまま、バランスをキープして!」
と言われたら、とっさに体重の配分について考えてしまうかもしれませんね。
でも、これは…あっそうだ! トランペットを吹くと想像したら分かりやすいかも!(吹く系の楽器なら何でもいいけどw)
トランペットで一定の音量を出し続けるには、一定の量の息を吐き続けなきゃでしょ?
それってまさに、息を吐きながらも、吐かない力を使っているわけだ。だって、息をブフォッって一気に吐いたらそこで終わっちゃうもんね。笑
対極にあるパワーバランスをコントロールして、音量を調節しているってことですよね♪
でね。
これと同じことがダンスにも言えます。
バランスを取る(ぴたっと静止する)というのは、天秤のように動かなくなるまで重さを釣り合わせる行為…ではなく、
対極のパワーバランスをちょうど拮抗させた状態
を言うんじゃないかな。
何もしていないように見えても、実際には膨大なエネルギーが行き来している。
一流と呼ばれるアーティストはそこにいち早く気付いて、それを日々磨いている。
だからこそ、立っているだけで踊りや歌になる。指揮棒を振らなくても音楽が聞こえる。
それはもう、演じるという次元の話ではないんだ。
…と、考えたりするんです。
「もうちょっと早く気付けてたら、筆者も一流の仲間入りできてたかも~!」
なんてね。いや、冗談に聞こえんか。笑
全ての歯車が噛み合わないと、その領域にはおそらく辿り着けないでしょう。結局、『運』が『命』の在り方を決めているんですよね。ダダダダーン。
お話が脱線してしまいました。笑
動きの順番を整えたい
ここから、
「反対の動きを同時進行で?」
の疑問に答えていきます♪
エネルギーのバランスを取る、と言うと難しく聞こえますよね。
でも重力やトランペット、腕を突き出す…などのたとえでもよく分かるように、これは
同時進行が可能で、私たちが無意識にしていること
でもあるんですね。
いや~そう考えると人体の仕組みに感嘆せざるをえないよね。人体 Bravo! 人体 Grazie!
…でね!? ここからなのよ! 本当に言いたいのは!!笑
拮抗している力にも、実は、しっかりと順番があるんです。
重力で言えば、先に重力があって、それに抵抗する力がある。逆にはありえない。
でも、ダンスでは「はいこうですよ」と結果だけを先に見せられるケースがあまりに多いから、
- エネルギーが始まる&終わる部位
- エネルギーの流れる道筋
- その動きはどちらの方向のエネルギーを優先させた結果なのか
っていうのが、習う側としてはさっぱり分からないんですよ!!!
でしょ!? そうでしょ!?笑
だから、
- 見よう見真似になってしまう
- どこかでエネルギーが妨げられていることに気が付けない
- 順番がしっちゃかめっちゃかだから、ボディパーツを違う方向に使ってしまったりする
筆者はこのブログで、動きの順番を整えたいんです。
体内のどの道筋をどう辿れば、最も自然に踊れるのか。それを知ってほしい。
「三角の積み木の上に、四角の積み木は置けないよ! 順番が逆だよ!」
ってことを伝えたいんです!笑
ま、ほんと筆者なりの考えですので「それがあなたの体にも合うかどうかは分からない」とは毎回申し上げているところですが…。
「うそでしょ…今まで絶対無理だと思ってたことが、一瞬でできちゃった…」
とご報告いただけるのは、ほんと、劇場からの行き帰りで踊っちゃうくらい嬉しいんですよ。もう、言葉にならないから、ほんとに踊っちゃうwww
ブログの順番は、一応頑張って考えてます…
なので、前回の記事で
「考える順番を守らないと最大の効果が得られないこともある」
と申し上げたのです。
でも一応そんなことのないよう、前提をすっ飛ばしたりしないように、ブログにする順番は頑張って考えてますので! ええ、まだ30代なのにツルツルな脳みそを振り絞っておりますので!笑
記事内に分かりづらいことが出てきましたら、何か見落としてないかまとめページを上から順に見返していただければ有難いです。
また、後からお伝えする記事が「最初の方に書いてあった感覚と繋がった!」なんて発見もあり、それも一興かと思います♪
強さが補強される
最後に、
「せっかく上げたのに下ろすの?」
という疑問の補完もしときまひょ。
シンプルに
「下げる」と「落ちる」は違う意味だよ~!
と一言で済んでしまうお話ではありますが、上げ下げの相関関係についてももう少しつっこんで見ていきたいと思います。
上げ下げを同時に行うことで目指しているのは、強さの補強
です。視覚に訴えかけるなら
↑+↓=⇕
って感じでしょうか。笑(矢印、ちゃんと表示されてます?)
土に根差す植物は風になびくし、片手に持ったカバンは歩くたび振れる。
空間で物を固定させようと思ったら、つっぱり棒のように上下、ないし左右を固定しなければなりません。
かといって足裏から頭蓋骨まで、全身を上下に突っ張っちゃったら表現の自由がちっともなくなってしまう。(昨今叫ばれている「表現の自由」とはちょっと違うやつ。笑)
だから、大事なところは2方向、いやそれ以上からしっかり補強しておくんですね。
食器棚みたいな、家の中で特に倒れてきたらあかんやつが、体でいう骨盤や腰だと思って。
そこを補強するため強い壁を選んだり、壁を作ったりして、様々な方向からつっぱり棒を張り巡らせているととらえていただければ幸いです。
耐震性のある足腰、って字面を見るとなんか面白くなっちゃうんですが。笑
まとめ
おつかれさまでした~!
今回は色々とお話しいたしましたが、まとめると
ダンス(バレエ)において「バランスを取る」っていうのは
動くため or 動かさないために、エネルギーの拮抗関係に意識を向ける
ってことじゃないかな…
でもって「体(動き)をコントロールする」の言葉には
体内のどこに電気の配線が繋がっていて、エネルギーをどの方向に流していくか?
そしてその一連を正しい順番で行うって意味があるんじゃないかしら…
ってかんじです!
いつかも申し上げましたが、バレエは「見た目通り」ではないんですね。
足の甲が出ていても、甲を出してるわけではない。
脚が上がっていても、脚の力だけで上げてるわけではない。
静止していても、止まっているわけではない。
だからこそ興味深いし、面白いんですよねえ…。
体の中の新しい配線をもっともっと発見したくなる。笑
私が毎日のレッスンを通して感じているバレエの魅力を、踊る人にも、観る専の人にも、教える側の方々にも!
私なりの方法で、これからも伝えていけたらと思います。それではまた~♪
あっ、まとめページ置いとくね。
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