【手記】財はなくとも、与えることはできるはず【Twitterフォロワーが5000人を超え驚いてます】

自分のこと

わがんせ、という言葉を私が知ったのは、ほんの数か月前のこと。

『和顔施』と書く。

和顔は、字面の通り「にこにこと和やかな顔」のこと。

施は、お布施。つまり、ほどこしのこと。

仏教で、お金や物が手元になくとも慈悲の心を与えられる方法として教え伝えられる『無財の七施』のうちのひとつ――それが和顔施なのである。

シュトゥットガルトでの学校時代の思い出

頭に焼き付いて離れない笑顔がある。

シュトゥットガルトで学生をしていたとき、さりげない日常の中で見たそれだ。

その日は学校公演のための作品を練習していた。

私の向かい、反対側の幕から出る1学年上の女性はサバサバしていて、タバコとお酒を栄養の8割とし、ハスキーボイスで眼光が鋭い方だった。

巷では「強面ヤンキーちゃんがかわいすぎる」的な漫画が数多くあるけれど、そんなヒロインを地でいく不良顔。でも片端を吊り上げて微笑む口端に優しさがにじみ出ている。そんな先輩だった。

「今日は1曲最後まで通します」

先生がそう言って曲をかける直前、彼女とふと目が合った。

いつもの仏頂面だったけど、私は接点こそ少なくともその先輩が大好きだったので、

「(通しだって!がんばろうね!)」

と全く伝わるはずのない気持ちをこめて「にこーっ!」っと笑った。

驚くべきはその練習のあと。

先輩がこちらにやってきて、

「さっき始まる前、私に笑いかけてくれてありがとう」

と礼を述べたのだ。

(え、えぇ…? わざわざお礼言われるようなことか…???)

盛大に困惑する私を見て、先輩は破顔する。

「私、今日足が痛くてさぁ。だから全然やりたくなかったけど、チホが笑ってくれたから、なんかやる気出た」

っておま…! それかんぺきヒロインの台詞ですやん…!!!

という萌え事件があったんですよ。

ええ。破壊力やばすぎて、今でも忘れられないんです。笑

与えることは、心の持ちようだけでできる

「笑った」ことを「笑ってくれた」と変換して受け取ってくれる人がいる。

笑顔、というものは与えたり、もらったりできるものなんだ

――そう漠然と感じてから20年近い年月を経て、たまたまYouTubeで見かけた仏教の動画を機に、めでたく『和顔施』という名前がついた。

それでね。

お金がたくさんあったら、こんなことしたいよな~!!!げへへ

と軽い気持ちで呟いた先日のツイートに、沢山の方が賛同してくれたわけだけれども。

お金がなければ無力だ、何も与えられない…と悲観する必要はどこにもないと思う。

無財の七施には他にも、

①穏やかな眼差しを向けること

②優しい言葉で接し、愛情をもって叱ること

③自分の身ひとつで奉仕すること

④思いやりの心をもち、相手の立場になって考えてみること

⑤席や地位を譲ること

⑥家の一角で寝泊まりをさせたり、休息の場を提供すること

とある。どれも心がけひとつでできることばかりだ。(気になる方はぜひ調べてみてほしい)

自分の言動を振り返ってみると、全くできてないと、卑下するほどではないような気がする。

席を譲る例だと、スーパーのレジで後ろの人の商品が少なければ「お先にいかがですか」と尋ねたり。オーディションに来た子をうちに泊めたり。(そのせいでいやな思いもしたけれど

でもそれらはここドイツで親切にされて、心底嬉しかったから自分も真似しているだけ。施しという自覚は正直なかった。

財がなくとも、与えることはできる。うん、できる。

『無財の七施』の考えを私がすんなりと受け入れられたのは、あの日彼女のくれた笑顔があってこそだと思う。

だって彼女の笑顔は、こうして今でも私の財産になっているのだから。

ブログを始めてから

また、与えるだけでなく、その好意を素直に、有り難く受け取ることも忘れないでいたい。

私はそれこそ、このブログを始めてから見ず知らずの方に感謝されることが増えた。

自分の知識を与えることには自信がなかったけれども、あなたがいつも返してくれる「いいね」「ありがとう」や「ほんとにできた!」、それに何よりそこから伝わる「楽しい」って想いが、筆舌に尽くしがたいほどの励みだったりする。

おかげさまで更新も頑張れて、読んでくださる方もほんとうに増えたと思う。

ブログの宣伝目的で始めたTwitterのフォロワー数は、1年半で5000人を超えてしまった。ほんとにびっくりしてるし、応援に感謝しています。

それは、私のような若輩者が仕事のことや、今日おかしかった小ネタや、相方のおのろけだけ呟いているだけでは決して成し得なかった数字だと思うから。

みなさんのおかげです。

あしながおじさん的な経済的援助はできなくとも、このブログがあなたの財産のひとつになることを、心から願っています。私を、アキレス腱ながおばさんにしてください。笑

これからもよろしくね。それでは、また。

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