舞台芸術とは、とれとれぴちぴちカニ料理なんである

ドイツでの暮らし

ドイツからこんにちは! どうも筆者の川端です。大阪人らしいタイトル。笑

今回はバレエダンサーとしての手記のようなものになります。

コロナ後の貴重な公演だったにも関わらず、今ひとつ自分の中の高揚感が足りなかったこと。

その理由と、明日2日よりドイツ全土で始まる部分的ロックダウンの規定に「娯楽施設」として劇場が分類されているのを見たときの心境などをお伝えしたいと思います。

ちょっと真面目ですが相変わらずテンションは明るいので、よろしくお付き合い願います!

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まずはお礼から!

こちらの記事で役作りを経て臨んだ『白鳥の湖』初演。

ドイツやその近隣諸国では閉鎖される劇場もあったので、本当に開催されるのか、初演当日ですらなんだか実感が湧かないままその日を迎えました。

本番は無我夢中で、カーテンコールになってようやく客席を見渡すことができたのですが、制限があるせいで均等にまばらな客席から贈られる心のこもった拍手が切なく、また愛おしく。

そして先日2回目の公演は音源が拍手で掻き消され、踊りだしが遅れてしまうという超お笑いハプニングもあったものの、それもひとまず無事に終わりました。

遅ればせながら、遠く離れたところから盛会をお祈りしてくださった皆さまには、厚くそして暑苦しくお礼を申し上げます。ありがとね!!!!!(近寄るなって言われちゃう)

初演後に感じた物足りなさ

さて、2020年3月の緊急事態宣言を受けてドイツの劇場やコンサートホールも一時閉鎖する局面に陥り、私達バレエにとっては10月17日『白鳥の湖』がコロナ後初の公演だったわけです。

オンライン配信をすべく、撮影のため舞台で踊ったりはしたものの、やはり観客が足を運んでくださっている本番とはわけが違いますよね。

7か月もその空気に触れていないブランク! そして様々な規制を乗り越えて皆で作り上げた舞台!! さぞかし喜びもひとしおだろう…!!!

……と、思いきや。

なんか…ドーパミンが足りない…

あれ? バレエダンサーって「お客さまに観て頂けることが最上の喜びです!」じゃなかったの??笑

初演の幕が下がり、その温かい余韻を噛み締めながら、ぽろりと筆者の心から零れた一言を率直に申し上げます。

オーケストラで、踊りたかったな…

なんと贅沢な願いだ、ということは承知しています。音源を貶めるつもりも毛頭ありません。

筆者はただ、自分の中にある「踊りが好きってより、音楽を踊りで表現したいんよねー」という気持ちがここまで重症だとは思ってもみなかったのです。

そして二度目のロックダウン

来たる11月8日には、3度目のパフォーマンスが上演される予定でした。

しかし現在のコロナ感染者の増加を鑑みて、ドイツでは11月2日から同月末日までの部分的ロックダウンを決行することに。その「部分」の中には劇場も含まれておりました。

<劇場、オペラハウス及びコンサートホールなどの娯楽(レジャー)施設は…>

新聞記事に書かれているその一文を見る度、なぜか心を針で刺されるような痛みが。

「いや、うん、そう、娯楽施設、うん、そう…そうよね……」

と曖昧に納得していたところ、まるでドアノブに鞄が引っかかったみたいに、見過ごすことがどうしてもできなかったのはやはり自分だけではなかったみたい。

周りの声や、劇場総監督から届いた現状を報せるメールにも、「その一文は痛かった」とはっきり書かれていました。「痛恨の極み」とでも訳せばしっくりきますね。

また、筆者の相方の口からは、素朴な疑問が飛び出しました。

劇場は、映画館と同じなんだろうか?

どうぞ誤解のなきよう、優劣をつけるという意味では決してありません

筆者が「なぜ、待ちに待ったはずの公演で感極まるまでにならなかったのか」。

その理由が、そのときの相方への返答で明らかになったような気がしたのです。

触れるものの鮮度

『劇場は、映画館と同じなんだろうか』

と呟く相方に対する筆者の答えは、確かこんなかんじでした。大阪弁のままお届けします。笑

「同じやと思う。多くの人や色んな才能が関わって、練習や問題を乗り越えて、時間もお金もかけて、最高のものを皆で作り上げるって点では。

映画や写真、絵画、彫刻…。芸術のどんなジャンルでも、そのプロセスに変わりはないと思う。

けどそうして出来上がった作品って、不変のものよね。経年美化という言葉もあるにしても。

何回も見ていくうちに受け取る側自身の感受性が変化することで所感が変わったり、文化の成長の中で評価が変わるとしても、その作品自体は基本的にそのまま

でも音楽とかバレエみたいな舞台芸術って毎回、本番の度に違うやん。本番の数だけ作品の数があるっていうか。それって『今そこで生まれるもの』なんじゃないかな。

たぶん私が白鳥をオケで踊りたかったなって感じたのも、そういうことなんかなと思う。

音源の素晴らしさに変わりはないけれど、私が渇望してたんは『今そこで生まれたばっかりの音楽』やったんかなって。とれたてぴちぴちミュージック

だから、映画館と違うことがあるとすれば、それは作品の鮮度ってことなのかな?」

映画館って、ある種のノスタルジアを感じさせませんか? そう感じるのは筆者だけではないと思うのですが。(久石譲さん作曲『金曜ロードショー』の主題曲も『Cinema Nostalgia』ですし!笑)

個人的に映画館は、今でこそショッピングモールに併設されるような明るいイメージの施設ですが、元はもっと美術館や博物館寄りの懐古的な、息遣いを閉じ込めた薄暗い空間なのかな、なんて。

『娯楽』は心を重圧から解放させる役目を担っていますが、触れるもの自体の鮮度は色々で、きっと好みも千差万別なんだろうな。

お料理やお菓子だって、出来たても、時間を置いて味が馴染んでからもどちらもおいしいし、それぞれに良さがあるんだけどやっぱり人それぞれに好みがあるように。

そう思えた、とある日のやり取りでございました。

まとめ

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

劇場も映画館も、娯楽施設というひとまとめではありますが、その中にも色々あるんだなと考え至ったことで筆者はひとつの答えと納得しております。笑

今は12月に舞台が上演できることを願って、体調にも気を配りながら練習するしかありませんね。コロナ陽性者が出て練習もできない劇場がある現状を思えば、今できることに注力するのみです。

皆さんが今体験したい娯楽は何かありますか? 「言われてみれば、自分の好みの鮮度って偏ってるかも…」みたいなことがあれば面白いかもしれませんね。

それでは、また! よい11月をお過ごしくださ~い!

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